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前立腺は男性特有の臓器であり、大きさはクルミ大で重さは15〜20グラム程度です。
前立腺は精液の一部である前立腺液を分泌しており、それらは精子を保護したり動きを促したりする働きがあります。前立腺は膀胱の下にあり、その中をトンネルのように尿道が通っています。前立腺が大きくなると尿道を圧迫し尿の勢いが悪くなったり、尿道や膀胱の知覚が過敏になり頻尿や尿もれの原因となります。進行すると尿が膀胱内に残ったり(残尿)、腎臓が腫れて(水腎症)腎臓の働きが悪くなります。
※国際前立腺症状スコア(IPSS)とQOLスコアのダウンロード
※過活動膀胱症状質問票(OABSS)のダウンロード
T薬物療法
薬物療法は前立腺肥大症の治療として、まず試みられる治療です。
1.α1遮断薬
前立腺と膀胱頸部にある平滑筋の緊張を緩め、尿の通りを良くする効果があります。その結果尿の勢いが増し、頻尿も改善されます。数種類のお薬がありますので、患者様の病状や体質に合ったものを選ぶことができます。主な副作用は起立性低血圧(立ちくらみ)や射精障害(精液が出にくくなる)などですが、お薬の調整や中止などで改善可能です。
2.ホスホジエステラーゼ5阻害薬
勃起障害に使われている薬ですが、前立腺肥大症に対する効果も認められています。前立腺や膀胱頸部の平滑筋を緩め尿の通りを良くする効果以外に、膀胱へ行く血管平滑筋にも作用し尿意切迫感(尿を急にしたくなる症状)などを和らげる効果も期待されています。なお、狭心症や心筋梗塞治療薬である硝酸剤やNO供与剤との併用は、血圧低下をきたすため禁忌となっています。
3.5α還元酵素阻害薬
前立腺の肥大には男性ホルモンが関わっていますが、この男性ホルモンの前立腺に対する作用を抑えることで前立腺を小さくする薬です。個人差はありますが1年間の内服で前立腺の大きさが治療前より30%ほど縮小します。主な副作用は勃起障害や乳房障害(女性化乳房など)ですが、それぞれ3%、1.5%程度です。
4.その他
植物から抽出したエキスを薬にした生薬や漢方薬などが前立腺肥大症の治療に使われることがありますが、それらの効果については十分な科学的根拠が示されていません。過活動膀胱を合併しているケースでは、抗コリン薬やβ3アドレナリン受容体作動薬などを併用することがあります。
U手術療法
薬物療法を行っても症状の十分な改善が得られない場合などに行われる治療です。一般に入院が必要です。
1.TPRP(経尿道的前立腺切除術)
尿道に内視鏡を挿入し、尿道を圧迫している前立腺を内側から削る手術です。内視鏡の先端に切除ループを装着し電流を流すことで肥大した組織を切除します。手術時間は1時間前後です。手術後数日間は尿道カテーテルを留置します。
2.ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)
尿道に内視鏡を挿入し、レーザーを照射しながら、前立腺の外腺と内腺の間を剥がして、肥大した組織を塊としてくり抜きます。その塊は膀胱の中で細かく砕き、内視鏡の中を通して取り出します。大きい前立腺に対しても少ない出血で安全に行えます。
3.レーザー前立腺蒸散術
尿道に内視鏡を挿入し、高出力のレーザーを照射して肥大した内腺を蒸散(蒸発)させます。非常に出血量が少なく、大きな前立腺に対しても行うことができます。また手術後の尿道カテーテル留置期間が短い利点があります。
※手術を行う場合は連携医療機関へご紹介いたします。